この記事は「動画を作る」だけでなく、発注側が安心して進めるための『費用の考え方』と『管理のポイント』をまとめたものです。
AIモデル/AIタレントはコストを下げやすい一方で、利用範囲・権利・ブランド整合を曖昧にすると、後から手戻り(作り直し)や追加費用が出やすくなります。
※金額はあくまで相場の目安です(内容・条件・依頼先で上下します)
※法的助言ではなく、制作会社がどう設計・運用してリスクを減らすかに寄せて説明します
目次
- 動画制作の費用は何で決まる?(制作費の内訳)
- 実写モデル・実写タレントを起用した場合の費用相場
- キャスティング費(ギャランティ)の目安
- 撮影費(スタジオ・スタッフ・機材など)
- 契約期間/更新/利用範囲で増えるコスト
- AIモデル・AIタレントを起用した場合の費用相場
- AIモデル設計・生成費の考え方
- 動画制作費(編集・尺・本数・バリエーション)の考え方
- なぜAIモデルはコストダウンと納期短縮が起きやすいのか
- 商用利用で企業が気にするポイント(制作運用の観点)
- 既存の人物や有名人に似ない設計・管理体制
- 利用範囲(Web・SNS・広告)を前提にした制作設計
- ブランドガイドラインに沿った一貫運用
- 長期運用時のデータ管理と再利用設計
- テレビCM費用とWeb CM費用の違い(制作費と出稿費の考え方)
- 予算別におすすめの進め方(小さく試す→量産へ)
- AIモデルを活用した動画制作のご相談はスムージースタジオまで
動画制作の費用は何で決まる?(制作費の内訳)
まず結論から言うと、費用は「動画の長さ」だけでは決まりません。
主に、次の掛け算で増減します。
- 企画の重さ:ゼロから設計するのか、既に台本や構成があるのか
- 素材の作り方:撮影する/アニメ・モーショングラフィックス中心/AI生成中心
- 出演者の有無と条件:モデル/タレント/ナレーター、利用範囲や期間
- 編集の工数:テロップ量、図解、合成、色調整、音(MA)など
- 納品物の数:15秒×5本、縦型/横型/正方形、字幕ありなし、多言語…など
- 修正回数と確認フロー:社内承認が多いほど「待ち時間」も含めて工数が増えやすい

制作工程は大きく 企画 →(撮影)→ 編集 の3つで捉えると見積が読みやすくなります。
動画制作全体の費用感は幅が大きく、工程ごとに内訳を把握することが重要です。
発注側が「見積の早出し」をしたい時は、最低限ここだけ揃えるとブレが減ります。
- 目的(何を伝えて、誰に、見た後どうしてほしいか)
- 尺と本数(例:15秒×6本、30秒×2本)
- 利用先(Webサイト/SNS/広告/展示会 など)
- 出演者(実写かAIか、ナレーション有無)
- いつ公開したいか(初稿・最終納品の希望日)
実写モデル・実写タレントを起用した場合の費用相場
実写は「説得力」が出やすい一方で、費用の山がキャスティングと撮影に立ちます。さらに、後述する契約条件で総額が大きく変わります。
キャスティング費(ギャランティ)の目安
ざっくり分けると、同じ「人を起用する」でもレンジが別物です。
1)一般的なモデル(広告モデル)
- 目安:1日あたり数万円〜10万円超が多い(経験・実績で上がる)
- 例として、モデル事務所の情報では「動画撮影 40,000円〜/1日」といった提示もあります(参考元:モデルのギャラ相場は?撮影を依頼するとき知っておきたい料金の基準 – MODEL Bookmark)
※これはあくまで「最低ラインの目安」で、実務では条件で上下します(媒体、拘束、買い取り条件など)
2)芸能タレント(知名度がある人)
- 目安:数百万円〜数千万円、上位層は1億円規模もあり得ます
- 例えば媒体別・知名度別の相場解説では、俳優のCM出演料が新人で500万〜、主役級で5,000万〜1億円というレンジが示されています(参考元:芸能人のCM出演料の相場は?媒体別のギャラと費用を抑える方法を解説 – Skettt)
見落としやすい追加費用
- キャスティング会社の手数料(運用費)
- オーディション/衣装合わせ/事前フィッティング
- ヘアメイク、スタイリスト
「誰を起用するか」だけでなく、契約条件まで含めて初めて比較できます。
撮影費(スタジオ・スタッフ・機材など)
実写の費用が上がりやすい理由は、撮影日が増えると人と場所と機材が一斉に増えるからです。
見積書の典型的な並び(例)
- 企画費、台本/構成
- ディレクター、制作進行
- カメラマン、照明、音声
- 機材費、スタジオ費、交通費
- 美術/小道具、衣装、ヘアメイク
制作会社の見積例では、企画費10万円、シナリオ作成25万円、ディレクター費25万円、撮影機材費5万〜10万円、カメラマン5万円など、工程ごとに積み上がる形が一般的です。(参考元:制作費について – 株式会社キューシード)
また、動画制作全体の工程別相場として、企画10〜50万円、撮影10〜100万円、編集5〜100万円といった目安も示されています(案件次第で超えることは普通にあります)。
参考ページ:動画制作の費用相場は? 料金の内訳や種類ごとの相場とは – 日テレアート

契約期間/更新/利用範囲で増えるコスト
実写起用で「後から効いてくる」のがここです。
同じ動画でも、使い方が広いほど高くなるのが基本です。
費用が増えやすい条件(例)
- 利用期間:3ヶ月→1年→2年…
- 利用媒体:自社サイトのみ → Web広告/SNS広告/店頭/OOH…
- 地域:国内のみ → 海外含む
- 競合制限(同業他社NG)
- 静止画転用(動画から切り出してバナーに使う等)
さらに、更新時に追加費用が発生する考え方も一般的です。
たとえば、モデル契約の更新料について「初回費用の80%が相場」といった説明をする事業者もあります(あくまで一例)。
参考ページ:AIモデルの活用でモデル撮影費用を大幅削減 – AI/AD MAKERS
ここを最初に決め切れないと、あとで「広告に回したい」「縦型も欲しい」となった時に、追加見積が連鎖しやすくなります。

AIモデル・AIタレントを起用した場合の費用相場
AI側も、実は「ひとつの相場」ではありません。
大きく分けると、次の3タイプで考えると整理しやすいです。
- テンプレ型(既存のAIアバター/既存ツール)
- セミオーダー型(ブランド専属っぽく整える)
- フルオーダー型(デジタルヒューマン級に作り込む)
AIモデル設計・生成費の考え方
1)テンプレ型(すぐ使えるAIタレント)
- 目安:20万〜100万円程度(数日〜数週間)
- 「標準の顔や声を選び、テキストで喋らせる」タイプの費用感として紹介されています
参考ページ:AIタレントとは?作成費用・著作権・活用事例・作り方まで徹底解説 – Beyond AI - 向いている:社内説明、研修、短い案内動画など
- 注意点:独自性が出しにくい/「自社の顔」としては弱い
2)セミオーダー型(専属AIモデル)
- 目安:サービスによって幅が大きい(数万円〜数十万円台の提示もある)
- 例として、オリジナルAIモデル作成費用を「2万円〜(買取)」と提示するサービスもあります(ただし“ブランドモデルとして作り込みが必要な場合は別途見積”と明記)。
参考ページ:AIモデル・AI広告バナー作成の料金 – AI/AD MAKERS - 実務の考え方:最初に「顔の方向性」「髪型」「服のルール」「NG表現」を決める。量産するなら、初期設計(固定費)をちゃんと取った方が、後で速く安定します
3)フルオーダー型(3D/バーチャルヒューマン級)
- 目安:300万〜1,000万円以上もあり得る
- 2D:10万〜50万、3D:50万〜300万、フルカスタム:300万〜1,000万以上という整理例があります
参考ページ:バーチャルヒューマンの費用やおすすめの依頼先は?活用事例や将来性も徹底解説! – モデログ by MODELY - 向いている:長期のブランドアンバサダー、イベント連動、複数展開
- 注意点:初期費用だけでなく、運用・保守も前提にする

動画制作費(編集・尺・本数・バリエーション)の考え方
AIを使っても、動画制作の基本は同じで、「固定費+変動費」で見ます。
固定費(最初に一度かかりやすい)
- AIモデルの設計(見た目・声・話し方のルール)
- ブランド表現のルール化(色、フォント、言い回し、禁止表現)
- テンプレ編集(尺違い・比率違いのひな形づくり)
変動費(本数に比例して増える)
- 台本(1本ごとに必要)
- 編集(テロップ/図解/差し替え)
- 音(BGM/SE/MA)
- 字幕(言語数で増える)
- チェック・修正(承認回数に比例)
相場の感覚としては、動画制作は「企画・撮影・編集」のどこに重みがあるかで費用が大きく変わります。
AIは撮影を軽くできることが多い一方で、企画・編集・チェックは残ります。
なぜAIモデルはコストダウンと納期短縮が起きやすいのか
実務で効いてくる理由はシンプルです。
撮影がない(または小さくできる)からです。
AIで下がりやすいコスト/短縮しやすい時間
- キャスティング調整(スケジュール確保、拘束、移動)
- 撮影場所(スタジオ手配、ロケ許可、天候リスク)
- スタッフ/機材の大人数アサイン
- 撮り直し(再集合が不要、生成し直しで済むケースが多い)
- バリエーション制作(同じ素材から「差分」を作りやすい)
一方で、AIでも残る(むしろ大事になる)もの
- 企画設計(伝え方の設計図)
- 品質管理(崩れ/違和感のチェック)
- 「似ていないか」などのリスクチェック
つまり、AIは「制作の山(撮影)」を平らにしやすいのが強みです。
また、最初にルールを決めておくほど、量産で効いてきます。

商用利用で企業が気にするポイント(制作運用の観点)
ここは法的助言ではなく、制作会社として「どう管理・設計しているか」の観点で整理します。
発注側の不安はだいたい「あとで問題にならないか」「社内決裁で止まらないか」に集約されます。
既存の人物や有名人に似ない設計・管理体制
AIモデルで一番怖いのは、悪意がなくても「似ている」と言われる状態です。
実際、合成音声が有名俳優に似ているとして抗議が話題になったケースもあり、似ている問題は現実に起きます。
参考ページ:米俳優ヨハンソンさんがオープンAIに抗議、合成音声で広がる波紋 – THE WALL STREET JOURNAL
制作運用でよく行う対策(例)
- 最初の設計段階で「元ネタ参照」を禁止(特定人物名を使わない)
- 顔の特徴を「よくある組み合わせ」に寄せすぎない(輪郭・目鼻・髪・雰囲気の偏りを避ける)
- 生成物のチェックを複数人で行う(1人判断にしない)
- 生成条件(プロンプト、設定、使用ツール)を記録して、再発防止できる形にする
ポイントは、完成物だけでなく「作り方(プロセス)」も管理することです。社内説明もしやすくなります。

利用範囲(Web・SNS・広告)を前提にした制作設計
制作を始める前に、利用範囲を決めておくと「後からの追加費用」が減ります。
最低限決めたいこと
- どの媒体で使うか(Webサイト/縦型/広告配信/展示会 など)
- サイズ(16:9、9:16、1:1)と秒数(6秒、15秒、30秒など)
- 文字量(字幕ありきか、音なし視聴前提か)
- 静止画への転用(サムネ、バナーに切り出すか)
AIモデルは差分を作りやすい反面、最初にここが曖昧だと「縦型にしたら顔が切れる」「字幕を入れる場所がない」などで手戻りが出ます。

ブランドガイドラインに沿った一貫運用
「毎回ちょっと違う人に見える」は、AI起用で最も起きがちな失敗です。
制作会社側では、次のような運用ルールを先に作ることが多いです。
- AIモデルの固定ルール(髪型、表情の幅、服のトーン、NG演出)
- ロゴ・色・フォント・テロップのテンプレ
- 言い回し(ブランドの口調、敬語、言ってはいけない表現)
- 承認フロー(誰が何を見てOKするか)
これを最初に作ると、量産フェーズで
- 品質が安定する
- 修正回数が減る
- 社内決裁が通りやすい
という実務メリットが出ます。
長期運用時のデータ管理と再利用設計
AIモデルは「作って終わり」ではなく、長期で使うほど資産管理が重要になります。
制作会社側で設計しておくと安心なもの
- モデルのバージョン管理(いつ・何を変えたか)
- 生成条件の管理(プロンプト、設定、参照素材、禁止事項)
- 納品データの整理(編集プロジェクト、テロップデータ、BGMライセンス情報)
- 再利用できる素材の分離(背景、商品素材、UIパーツなど)
ここができていると、来期に「同じモデルで新商品だけ差し替え」が速くなり、見積もりも安定します。

テレビCM費用とWeb CM費用の違い(制作費と出稿費の考え方)
混ざりやすいのですが、CM系は費用が2階建てです。
- 制作費:CMそのものを作る費用(企画・撮影・編集・出演など)
- 出稿費(放映費/配信費):流すための費用(テレビ枠、広告配信)
テレビCMの目安として、民放キー局で15秒CMを1回流す放映費が「75万円〜」、制作費はタレント費を除いて「300〜600万円程度」と説明される例があります。
参考ページ:「テレビCMの費用」はどのくらいかかるの?15秒のCM1本流した時の相場価格は? – テレビ朝日 Ads
※ここにタレントキャスティング費が乗ると、総額は一気に上がります。
一方、Web CMは
- 配信費を小さく始められる(必要に応じて増やす)
- 尺・比率・バリエーションが増えやすい(その分制作本数は増える)
という特徴があります。
つまり、
- テレビ:出稿費が大きくなりやすい/制作も一定以上の品質が求められやすい
- Web:制作は柔軟/ただし運用上、バリエーション制作が増えやすい
という違いで捉えると判断しやすいです。

予算別におすすめの進め方(小さく試す→量産へ)
「いきなりフル投資」より、小さく試して、勝ち筋が見えたら量産が一番安全です。
特にAIモデルは、最初の設計がハマると後半が速いので、段階設計が向いています。
〜50万円:まず「使えるか」を確認する
- テンプレ型AIタレントで1〜2本
- 目的は「社内承認が通る品質か」「運用に乗るか」の確認
- 利用範囲は絞って、リスクチェックを丁寧に
50〜150万円:小さな専属モデル+本数で検証
- 見た目の方向性を固定し、15秒×複数本などで検証
- 縦型/横型など、必要なサイズ違いを先に作っておく
- ルールブック(NG・OK)を整備して量産に備える

150〜300万円:テンプレ化して制作ラインを作る
- ブランドの表現ルール、編集テンプレ、字幕ルールを整備
- 月次で差し替えが起きても回る体制にする(素材管理も含む)
300万円〜:長期の顔として投資する(AIタレント級)
- フルカスタム(3D/デジタルヒューマン級)も検討範囲
- その分、運用・保守・更新の設計が重要(作って終わりにしない)
ポイントは、どの予算帯でも
- 最初に利用範囲を決める
- ブランドのルールを決める
- データを残す
この3点を押さえることです。
ここが抜けると、後からの追加費用が増えます。

AIモデルを活用した動画制作のご相談はスムージースタジオまで
相談をスムーズに進めるコツは、「何を決めれば概算が出るか」を先に揃えることです。
スムージースタジオに限らず、制作会社との初回打ち合わせで役立ちます。
事前に用意できると早いもの
- 目的(誰に何を伝えたいか)
- 尺・本数・サイズ(15秒×何本、縦型が必要か等)
- 利用範囲(Web/広告/展示会/社内 など)
- ブランドの資料(ロゴ、色、フォント、トンマナが分かるもの)
- 参考動画(好き/嫌いが分かると早い)
- NG事項(言ってはいけない、見せたくない表現)
進め方の一例(揉めにくい順番)
- 要件整理(利用範囲・本数・承認フローを固める)
- AIモデル方針決め(テンプレ型/専属型/フルカスタム)
- テスト制作(1本で品質と運用を確認)
- 量産設計(テンプレ・素材管理・修正ルール)
- 月次/四半期で更新(差し替え運用)
「実写で撮る部分」と「AIで作る部分」を混ぜる“ハイブリッド”も現実的です。
たとえば商品だけは実写で撮り、人物はAIにするなど、品質とコストと納期のバランスを取りやすくなります。
(ご相談時は、上の項目が揃っていなくても大丈夫です。分かる範囲から整理すると、見積と判断が速くなります。)
弘田 朗(ひろた たから)
AIを活用した動画生成やクリエイティブ最適化の実務経験を持ち、スピードと品質を両立させた制作フロー構築を得意とする。特に広告配信におけるABテスト用動画の生成や、ブランド一貫性を担保したAI活用の設計に定評がある。
